歯並びの治療(矯正歯科)が原因で歯茎が下がった(歯肉退縮)

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矯正で歯茎が下がるって本当?

歯茎が下がった「矯正治療で歯茎が下がる」という話を聞いたことはありませんか?
結論から言うと、矯正治療で歯茎が下がるリスクはあります。そしてこれは日本人に起こりやすい現象です。
欧米人と比べて顎の骨・歯茎が薄い日本人は、歯を動かしたときに、歯茎が十分にある範囲を超えてしまいやすく、そのために歯の根が露出してしまうのです。つまりより厳密には、歯茎の薄いところに歯を動かしてしまい歯茎が下がったように見える、ということになります。
矯正治療では、単に理想的な位置を目指すだけでなく、こういったことにも配慮して歯を動かす必要があります。

歯茎が下がる「歯肉退縮」とは?

歯茎が下がることを「歯肉退縮」と呼びます。具体的には、以下のような状態を指します。

  • 歯の根のまわりを覆っている歯茎が下がる
  • 歯の根が露出してくる(歯が長くなったように見える)
  • 歯と歯のあいだ(特に根元)に隙間ができる

歯肉退縮は、矯正治療だけでなく、さまざまな原因によって引き起こされます。

歯肉退縮の原因

歯槽骨の厚さが薄い

歯槽骨(顎の骨)は、一度減ってしまうと、自然に回復することはありません。
歯周病や加齢、激しい歯ぎしり・食いしばり、重度の虫歯などによって吸収された場合、あるいは治療の一環として削ってしまった場合など、人工的に骨の再生を促す治療を行わない限り、そのままの状態となってしまうのです。
また日本人はもともと、欧米人より歯槽骨が薄いため、歯肉退縮も起こりやすくなるのです。

歯周病が進んでいる

1つ前の項目でも触れましたが、歯周病は歯肉退縮の重大な要因となります。歯周病によって歯周組織が破壊されることから、歯茎が下がってくるのです。

強すぎるブラッシング

ブラッシングの力が強すぎると、歯茎が傷つき、痩せて下がってしまいます。歯ブラシは3本の指で鉛筆持ちするようにして、力が入り過ぎないようにしてください。

口腔内が清潔に保てていない

歯周病にまで至らずとも、口腔内の清潔が保てないことで、頻繁に歯茎の炎症を起こしていると、歯肉退縮を引き起こすことがあります。
特に入れ歯やブリッジなどを使用している、マルチブラケット矯正を受けているという場合には口腔内が汚れがちです。丁寧にセルフケアを行い、定期的にメンテナンスを受けましょう。

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、歯だけでなく、顎の骨にも大きな負荷をかけ、その吸収を進めてしまいます。マウスピースを使用するなどして、歯・顎の骨への負担の軽減を図りましょう。

歯肉退縮は放っておくと危険?

一度下がった歯肉が自然に戻ることはありません。スピードの差こそあれ、基本的に悪化していくのみです。悪化すると、以下のような問題が生じます。

見た目が気になる

歯茎が下がることで歯が長く見えたり、歯間が広くなったりして、見た目の問題が生じます。

知覚過敏になる

歯茎が下がると、歯の根が露出するようになります。歯の根は歯冠部よりも敏感ですので、知覚過敏が起こりやすくなります。

虫歯になりやすい

歯肉退縮によって露出した歯の根は、歯冠部ほど強くありません。容易に虫歯になってしまいます。

歯が割れる

歯茎が下がることで、歯ぎしりなどで歯にかかる負担が大きくなり、歯が割れてしまうことがあります。

歯が抜ける

歯肉退縮のほとんどは、顎の骨の吸収が背景にあります。吸収が進み歯を支えられなくなると、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

歯茎が下がっているのは自力で戻せる?治療方法は?

歯肉退縮は自力で治せません

一度下がった歯茎を、セルフケアなどの患者様ご自身の方法で回復させることはできません。歯肉退縮の治療に対応している歯科医院に相談するようにしてください。

当院で行う治療

遊離歯肉移植術

口蓋(上顎の歯茎部分)から組織を採取し、それを歯茎が下がったところへ移植する治療です。
垂直的に下がった歯茎を回復させるのに向いています。

コンポジットレジン修復

歯が欠けたときにも行われるコンポジットレジン修復を応用し、歯と歯のあいだに生じた隙間を、自然な形で埋めます。
下がった歯茎を元に戻す治療ではありませんが、広くなった歯間が気になる方におすすめです。

歯並びの治療(矯正)による歯肉退縮を予防する方法

矯正治療によって歯茎が下がることを防ぐためには、歯科医師の正確な診断と経験が重要になります。
ただそれ以外にも、患者様ご自身で取り組める予防法がございますので、ご紹介します。

丁寧なセルフケア

セルフケア用品

歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシ、洗口液などを併用して、丁寧にセルフケアを行いましょう。プラークをきれいに取り除くことで、炎症が起こりにくくなります。

硬い歯ブラシを使わない

セルフケア強すぎるブラッシングと同様に、硬い歯ブラシも歯肉退縮の原因になることがあります。力を入れていないつもりでも、どうしても歯茎との摩擦が強くなってしまうためです。
「ふつう」「やわらかめ」の歯ブラシでは「磨いた感じがしない!」と思われるかもしれませんが、丁寧に磨けば、しっかりと汚れを落とすことができます。

ビタミン摂取とバランスの良い食事

バランスの良い食事

皮膚や粘膜の働きを保つビタミンA、歯肉の成分を構成するコラーゲンを合成するビタミンC、細胞の再生やエネルギー回復に欠かせないビタミンB群などを、積極的に食事に取り入れましょう。
これらを含め、栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

血流を良くする

血行を良くする

運動習慣を身につける、シャワーではなくお湯に浸かる、適度に筋肉をつけるといったことで新陳代謝を上げると、血流が改善します。そして血流の改善は、免疫力および虫歯菌・歯周病菌への抵抗力を高めます。
なお、喫煙は血流を低下させるため、禁煙に努めましょう。

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